覚えておきたい記憶術
「場所法」を使って出会った人を記憶する
人の名前が覚えられない、仕事の手順をすぐに忘れてしまう。
自分の記憶力のなさを、社会に出てから改めて痛感させられている人も少なくないでしょう。もともと名前というのものは、それ自体に大きな意味があるわけではなく、具体的なイメージも沸きにくいものです。記憶について研究したビグビーは、記憶しやすいものの条件として「意味がわかりやすいもの」「イメージが浮かぶもの」「何かを連想しやすいもの」といった項目を挙げています。
そう考えると、名前というものはなかなか、覚えるためのハードルが高いのです。ただし、記憶力は一部の人を除き、個人差はさほど大きくありません。記憶術の訓練をすることで、効率よく覚えることは十分可能です。その方法をご紹介しましょう。
最も古い記憶術は、ギリシアの詩人シモニデスの逸話がもとになった「場所法」と呼ばれるもの。家の中や近所の道などの「場所」に記憶したいものを配置して覚える方法で、見知った場所を使って視覚化することで思い出しやすくなる、というメカニズムが働いています。イギリスの推理小説「シャーロック・ホームズ」シリーズにも登場するなど、世界中で活用されている手法です。
まとめ
・記憶能力に個人差はさほどない。
・家などの「場所」に紐づけて覚えるとよい。
「両手指法」、「物語法」、「チャンク化」で複数の事例を同時に記憶する
「場所法」とおなじようにあらかじめ決めた特定のイメージと記憶したいことを関連させる手法が「ペグワード法」です。ペグとは掛け金具のこと。ここに服や帽子を掛けるように、覚えたいイメージを重ねていくのです。
両手の指に覚えたいことを関連させて覚える「両手指法」も、ペグワード法の派生版といえるでしょう。
受験勉強や電話番号の記憶でよく使われるのが語呂合わせ。「鳴くようぐいす平安京(794年)」「いい国作ろう鎌倉幕府(1192年)」など誰もが一度は諳んじたことがあるのではないでしょうか。数字をかなやアルファベットに置き換えて記憶する手法に「数字文字置換法」と呼ばれるものもあります。
また、心理学を応用した記憶術もあります。たとえば短期記憶ができる意味のまとまりはチャンクといいますが、これは7~9個が上限といわれています。そこで9個以下のまとまりで覚えるのが「グループ化記憶法」です。また「いつ、どこで、何をした」という長期記憶のエピソード記憶を応用し、覚えたいものが登場するストーリーを作って覚える「物語法」もあります。
まとめ
・受験勉強のときの語呂合わせも記憶術。
・短期記憶できる意味のまとまりは9個まで。
・心理学を応用した記憶術もある。
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